自然科学調査

自然科学調査では、石見銀山遺跡の発掘調査で見つかった金属関連遺物や坩堝(るつぼ)などの遺物を科学的に調べ、その構成元素などを確認して、銀の製錬工程を追求する作業を継続的に行っています。また、金属を溶解して銀製錬を行った炉跡や鉄鍋の土・灰なども分析しています。これまでに、石見銀山の各所で「灰吹法」と呼ばれる鉛を使った銀製錬が行われていたことを自然科学分析で確認しています。
  清水谷製錬所の調査  
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  清水谷製錬所跡は、明治28~29年に藤田組によって操業された近代的な製錬施設です。島根県の近代化の過程の中で、明治20年代の大森、銅ヶ丸、笹ヶ谷など石見部の諸鉱山の洋式な設備投資は大きく評価できるものです。

  平成19・20年度に発掘調査が行われた清水谷製錬所では、洋式のレンガやキューペル(骨灰皿)、坩堝、ボタン鉛などが多く出土しました。現在、これら出土品の科学分析を実施していますが、今回は出土した煉瓦に焦点を当ててみました。

 
  煉瓦の分析  
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  清水谷製錬所跡から出土したレンガには、生産した会社のマークである「社印」などの記号が一切見られません。また、レンガの粘土の練りが足りず、縞状に見えるなど、大量生産された、いわば「既製品」とは考えられませんでした。そこで、このレンガの産地を考えるために蛍光X線分析を行い、石見地域の瓦や焼き物とデータを比較してみました。

  蛍光X線分析すると、石英の高温結晶形であるクリストバライトを含んでいることが解りました。クリストバライトは、他地域の焼き物や瓦に含まれることはあまりなく、石見部でも大田市南部の一部地域の粘土を焼成したものにしか含まれないことが解っています。

     
  まとめ  
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  この結果から、清水谷製錬所で使用されたレンガは、石見銀山の周辺の登り窯で製作された可能性が考えられます。
なお、このレンガは粘土の練りは足りないものの、耐火度、吸水率、耐久性も現代のJIS基準のレンガと同等の丈夫なものです。
経験のある石見の陶工ならば、洋式レンガを焼くことも難しい事ではなかったのかもしれません。

 
  その他の調査  
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