石見銀山遺跡では、その全容と価値を明らかにするため、平成8年度から島根県と大田(おおだ)市(旧温泉津(ゆのつ)町・旧仁摩(にま)町を含む)が共同し、各分野にわたる次のような総合的調査を実施しています。
発掘調査
採鉱と製錬の技術体系の解明を柱に、およそ400年に及ぶ鉱山遺跡の実態を明らかにする調査で、総合調査の中心的位置を占めます。また、近年では遺跡の整備活用を前提とした調査としても行っています。発掘調査によって、地下に埋もれていた鉱山の生産生活・消費流通・支配信仰などに関わる多種多様な遺構・遺物が確認されています。

出土遺物(石銀(いしがね)藤田地区)

安原谷(やすはらだに)調査
石造物調査
石見銀山の開発の過程や、そこで暮らした人々の階層や人口の変化などを、墓石を中心とする石造物から明らかにしようとする調査です。遺跡をくまなく歩いて概数を調べる分布調査、宗派・立地・残り具合などから特徴的な墓地を調べる詳細調査などを行っています。

大久保長安墓所

西念(さいねん)寺墓地調査
古文書・文献調査
石見銀山はもちろんのこと、石見銀・日本銀の世界的な流通状況や、周辺地域や他地域の鉱山との経済的社会的関係などを明らかにする調査です。海外を含め広範囲にわたる史料調査を行い、目録作成や写真撮影、史料分析などを行い、その成果を年表や論文集にまとめたり、データベースの作成などを行っています。

大久保長安書状

史料調査
街道調査
銀の搬出と諸物資の搬入のために利用された二つの街道に関する調査です。文献、石造物、建造物、民俗、自然などの各種調査を行い、ルートを確定し、街道の特徴や歴史的変遷を明らかにします。また、二つの湾の形態的特徴や船の係留施設、それを取り囲む丘陵や狭い谷間に残る山城、神社、小祠、共同井戸などの実態解明や、港に形成された集落の成り立ち、変遷及び全体の文化的景観について調査しています。

西田集落(温泉津沖泊道)

ルート調査
科学調査
発掘調査などで得られた資料を科学的方法を用いて分析し、石見銀山における採掘から精錬にいたる技術の解明を目的とする調査です。遺物に即した灰吹法技術の証明や、製錬工程のフローチャート作り、また、遺構・遺物の保存展示方法を検討するための三次元計測や薬剤処理・遺構の剥ぎ取り保存などを実施しています。

出土遺物保存処理

出土谷(だしつちだに)地区炉跡剥ぎ取り
その他の調査
この他、銀山柵内に残る露頭掘りや坑道掘りの跡を調べる間歩調査、石見銀山の支配に関わる拠点防御施設を調べる城館調査、銀山やその周辺地域に暮らした人々の文化に関わる民俗調査、銀・銀鉱石の積出港である鞆ケ浦・沖泊の港湾集落調査、海外の鉱山遺跡との比較調査などを行っています。

港湾集落調査(沖泊)

間歩分布調査
